金属スクラップの価格推移と今後の見通しについて

2024年も残すところ一ヶ月を切りました。
本格的に雪が降る前に、ぜひ、雪止めの対策をご検討ください。

さて、話は変わりますが、「鉄が高い」という言葉を聞いたことがあると思います。

昨今、世界的な需要の変化や、原材料の不足など、様々な理由から、鉄の買取価格は、上昇している傾向にあります。

そこで、この記事では、過去20年の価格推移や、高騰の理由、今後の見通しなどについて、個人的に調査した情報をもとに考察したいと思います。

過去20年の鉄スクラップ買取の価格推移

金属スクラップ、特に鉄スクラップの買取価格は、この20年で大きな変動を見せました。
以下は、その主な特徴です。

  • 2000年代初頭:鉄スクラップ価格は比較的安定しており、1トンあたり約1~2万円でした。
  • 2008年のリーマンショック前:世界的なインフラ投資の増加により、鉄スクラップ価格が急騰し、ピーク時には4万円を超えることもありました。
  • リーマンショック後:景気後退により需要が減少し、価格が一時的に低下。
  • 2010年代中盤:中国の経済成長とともに価格が回復。特に2016年以降、環境規制強化により中国国内での鉄の生産が抑制され、輸入鉄スクラップへの需要が増加。
  • 2020年代初頭:新型コロナウイルスの影響で一時的に下落しましたが、その後は世界的なインフラ投資やサプライチェーン問題で価格が高騰。2022年には鉄スクラップ価格が東北地方でも1トンあたり6万円近くに達しました。

参考サイト:日本鉄リサイクル工業会

スクラップ価格高騰の理由

鉄スクラップ価格の高騰には、以下のような要因が絡み合っています。

  1. 世界的な需要増加
    発展途上国のインフラ整備や都市化が進む中、鉄鋼需要が急増しています。特にアジアやアフリカでは新規の建築プロジェクトが活発です。
  2. 環境規制とリサイクルの需要拡大
    鉄をリサイクルすることで新規採掘や製錬のエネルギーコストを削減できるため、環境負荷の低減が求められる中でリサイクル材の需要が増えています。
  3. 地政学的リスク
    ロシア・ウクライナ問題や中東の不安定な状況が原材料供給に影響を与えています。このため、安定供給が見込めるスクラップ材の需要が増加しています。
  4. 国内の廃材供給減少
    日本国内では少子高齢化により新築需要が減り、解体される建物も減少し、スクラップの供給量が減少しています。

今後10年の見通しについて

鉄スクラップ市場は、今後も様々な影響を受けると予測されます。
以下にポイントをまとめてみます。

  • 価格の緩やかな上昇
    環境意識の高まりとリサイクルの重要性から、鉄スクラップの需要は引き続き高い水準を保つ見込みです。特にカーボンニュートラル政策の強化により、電炉(リサイクル鉄を主に使用)需要が増加すると予想されます。
  • 再生可能エネルギーの普及
    再生可能エネルギーへの転換が進む中、風力タービンや太陽光パネルの製造に鉄が使用されるため、鉄の需要が引き続き高まるでしょう。
  • 技術革新の影響
    鉄スクラップの加工・選別技術の進化により、リサイクル効率が向上することで、供給量がある程度安定すると考えられます。
  • 国内供給の安定化
    解体ラッシュを迎える時期に入るため、一定量のスクラップ供給が期待されますが、長期的には減少傾向が続くでしょう。

当社で出来ることを考える

金属業界における、スクラップ買取の価格変動は経営に直結する重要な要素です。

価格の動向に敏感であることはもちろん、以下の取り組みが重要であると考えます。

  • 長期的な価格予測を見据えた在庫管理
  • リサイクル技術や新しい流通チャネルの活用
  • 地域コミュニティとの連携による廃材の効率的な回収

まとめ

鉄スクラップ価格は、環境規制や地政学的リスクなど多くの要因に左右されながらも、今後も重要な資源として高値を維持する可能性が高いと推測できます。

東北地方、山形における金属業界のプレイヤーとして、この価格動向を踏まえた戦略的な対応が求められます。

未来を見据え、持続可能なビジネスの構築に向けて取り組んでまいります。

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