以前、屋根の材料屋さんから、このような話を聞いたことがあります。
「屋根を売る仕事をしてる」と言うと、ほとんどの人が「瓦を売ってるの?」と返したそうです。
実際、山形市内などでは、ガルバリウム鋼板と呼ばれる金属屋根が主流で、瓦屋根の住宅を見かけることは、ほとんどありません。
そんな話を思い出したので、この記事では、山形県内における金属屋根と瓦屋根の割合や、屋根材の動向について、文献を参考に考察してみようと思います。
全国的な屋根材の出荷動向
2011年からの出荷動向を比較すると、金属屋根材はほぼ横ばいであるのに対し、粘土瓦は減少の一途を辿っています。
別の文献を参考に、減少の理由を調べてみたところ、以下の要因が挙げられるようでした。
- 1995年、阪神・淡路大震災の時のメディアの報道による印象の悪化
(瓦は飛ばされるイメージがついた) - 家に対する考え方が「財産」から「消耗品」に変わった
(コストの掛け方の変化、長寿命&高コストの瓦から、そこそこの寿命&低コストの金属屋根へ移行) - 家に対する優先度
(内装にコストを掛ける傾向がさらに強くなった)
瓦屋根は初期コストが高い反面、長寿命であったり、メンテナンスが低コスト(部分修理が可能)というメリットもあるようですが、それを上回る価値観や考え方によって、減少傾向になってしまったようです。
山形県内の屋根材について
言わずもがなですが、山形の冬には「雪」という天敵が存在します。
以前から、何度か記事にしている通り、家の屋根全体で、雪の重量は数トンにまで及ぶほど重いため、屋根から降ろすことを最優先に考えなければいけません。
それに適した屋根材が金属屋根と言えます。
(むしろ、瓦は凹凸が多く積雪には不向きなのかもしれません)
山形市内に瓦屋根の住宅が一軒もないわけではありませんが、多く見られる地域として、鶴岡・酒田などの海岸部の住宅が挙げられます。
- 風が強い
- 潮風の影響
これらの要因から、重量が軽く、塩分によって錆が発生する金属屋根よりも瓦屋根の使用率が高い傾向にあると言えると思います。
「金属」と「瓦」屋根の割合
割合については、山形県のホームページの統計データを元に推測してみようと思います。
令和5年8月現在、庄内地域の世帯数は99,033となっており、山形県全体の世帯数401,548の約25%となっています。
その世帯全てが瓦屋根ではないはずなので、10〜15%の住宅が瓦屋根であると予想ができます。
残りの全てが金属屋根というわけではないと思いますので、およそ65〜70%程度が金属屋根で、残りの約20%がその他の材料(スレートなど)であると推測します。
山形の自然環境や、瓦職人の不足などの様々な要因から、今後金属屋根の割合は増加傾向を辿ると思われます。
まとめ
「金属屋根」と「瓦屋根」についてデータを交えて考察・推測してみました。
当社は金属屋根施工の建築板金業者でございます。
山形の積雪を考慮した施工を熟知しております。
新築・補修・屋根替えなどでお困りの際は、お気軽にご相談をお待ちしています。