【職人の道具をご紹介】一般には馴染みのない道具ですが、板金には必要な「ツカミ(掴み)」について

以前の記事で、板金職人が使うハサミについてご紹介しました。

ハサミと言えば、どなたでも形の想像が付くと思いますし、板金工具として使うのであれば鉄板を切るんだろうなとイメージが湧きやすいかと思います。

今回はハサミと同等くらいに重要な板金工具である「ツカミ」についてご紹介します。

名前からは形状が想像しづらい、一般にはあまり馴染みのないものではありますが、本記事の最後では、ご家庭での簡単な板金補修時の使い方などもご紹介させて頂きますので、最後までお付き合い頂けたら幸いです。

ツカミとは

「株式会社盛光」様ホームページより引用

上記画像の通り、様々なサイズラインナップがある「ツカミ」ですが、掴箸(つかみはし)などと呼ばれることもあります。

また、上記は先端が丸くなっていますが、平掴みと呼ばれる、先端が真っすぐな形状のものも存在します。

名前にある通り、鉄板を掴むために存在する道具ではありますが、使い道は様々で、本当に優秀な板金工具です。

「ツカミ」の使い方

まず、大前提として、建築板金で扱う鉄板の厚さは0.35mm程度のものから、厚くても0.8mm程度のものを使用します。

1mmにも満たない厚さの鉄板ですが、手で曲げたり、綺麗に折り目を付けたりすることはまず不可能なほど硬いです。

この点を補ってくれる道具が「ツカミ」です。

曲げる

建築板金に置いて「鉄板を曲げる」と言う作業は、全行程の中でもかなりの割合を占めるほど、登場します。

また、大きく長く曲げる箇所や、小さく少しだけ曲げる箇所など、多くのシチュエーションが存在します。

これらに対応するために「ツカミ」は様々な形状やサイズがある訳です。

合わせる

「合わせる」という言い方をしてしまうと、少し語弊があるかもしれませんが「鉄板同士をくっつける」作業時にもツカミが大活躍します。

というのも、屋根などを施工する際、鉄板の重なる部分は、水が浸入しづらい形に鉄板同士をくっるけるのが一般的です。

強力なノリのようなものや、ボルトなどで固定することもありますが、その場合も基本的には鉄板同士を合わせます。

つぶす

「曲げる」「合わせる」などの工程の後、最後にその部分をつぶす作業があります。

「潰す」と言うと悪いことのように聞こえるかもしれませんが、水の浸入を防いだり、施工箇所を長持ちさせるための大切な工程です。

このように「ツカミ」という道具には、たくさんの使い方が存在します。

電動工具の「ツカミ」

エアーベンダーと呼ばれる電動工具は、ツカミの役割を電動で行ってくれる優れものです。

ここまでご紹介した実際に手で使用するツカミと比較して、以下のようなメリットがあります。

  • 仕上がりが綺麗
  • 作業スピードが速い
  • 強力なので、厚さのある鉄板にも向いている

その他にも、ヘッドを交換することで、様々なタイプの屋根形状に対応し、使用することができます。

良いこと尽くめのエアーベンダーですが、狭い箇所や、細かい作業は、やはり人力に軍配が上がります。

我々板金職人は、これらの工具を適材適所で使い分け、お客様の屋根を最適に施工させて頂いております。

ご家庭での「ツカミ」の使用方法

雪害などによって、曲がったり、外れてしまった雨樋の簡単な補修に、ツカミは最適です。

縦樋(屋根から雨水を地面に向かって流す縦に伸びる雨樋)が外れてしまった箇所などを、もう一度はめ直し、ツカミで軽く挿し口を締めてあげることで、ご自身でも補修できてしまう場合があります。

補修する場合は、金属製の雨樋に限りますし、必ずしも補修できるわけではありません。

もし、ご自身の手に負えないような箇所の修理は、ぜひ、当社にお任せください。

2021年~2022年にかけて、山形は稀に見る大雪に見舞われました。
多くの住宅の屋根で被害に遭われた報告を耳にします。

そのような方々が安心して住まうことの出来るよう、全力で、施工・修理を実施させて頂きます。

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